水と氷と包接水和物

私の生活にかかせない水や氷のもつ奇妙な性質がどうして生まれるのか、そのしくみを明らかにします。

理論と分子シミュレーション

統計力学理論と計算機シミュレーションを駆使して、実験では見えない現象を調べ、実験に先がけて物質の性質を予測します。

身近な謎をときあかす

氷はなぜ水に浮くのか、地球が温暖化しても海が膨張しないのはなぜか、メタンハイドレートはなぜ海底でみつかるのか。 問いが簡単だからといって、答も簡単とは限りません。

助成金を獲得

研究テーマ「機械学習による広域大気汚染予報システムの開発」に対し、天野工業技術研究所から、研究助成金を給付していただけることになりました。期間は1年(2024年度)です。精進します。

氷の高次構造と均衡原理

我々のグループの新しい論文が出版されました。 氷の結晶構造の中に隠された「一筆書き」構造に注目し、それが氷にどのような変わった性質をもたらすかをいろんな角度から議論しました。 松本 正和、二井矢 圭佑(本研究室OB, 2022年度修士修了) 、田中 秀樹、氷の高次構造と均衡原理、日本結晶学会誌 2024 年 66 巻 1 号 p. 39-47. DOI:10.5940/jcrsj.66.39 DOI:10.5940/jcrsj.66.Cover1 表紙

中間発表会が開催されました

3月4日に岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科物質科学基礎講座(化学系)の中間発表会が開催されました。中間発表会は、修士一年が終わる時点での研究の進捗を確かめ、今後の方向性を探る機会として、ポスター発表形式で3時間にわたるディスカッションバトルが繰りひろげられます。本研究室からはM1の山田君と河野君が発表しました。分野の異なる研究者や学生との質疑から、良い着想が得られたのではないかと思います。ご苦労さまでした。

Genice-core:水素無秩序氷を生成する効率的アルゴリズム

我々のグループの新しい論文が出版されました。 氷は通常の結晶とは異なり、ランダム性を含んでいるため、アンサンブル平均に基づく統計的な取り扱いが不可欠です。 氷の構造は、アイスルールとして知られるトポロジカルな規則によって制約されており、この規則が氷に独特の異常な性質を与えています。 このような性質は、システムサイズが大きい場合に顕著になります。 このため、均質にランダムで氷の規則を満たす、十分に大きな結晶を大量に生成する必要があります。 私たちは、イオンと欠陥を含む氷構造を迅速に生成するアルゴリズムを開発しました。 このアルゴリズムは独立したソフトウェアモジュールとして提供され、結晶構造生成ソフトウェアに組み込むことができます。 これにより、これまで不可能であったスケールの氷結晶のシミュレーションが可能になります。 Masakazu Matsumoto, Takuma Yagasaki, and Hideki Tanaka, GenIce-core: Efficient algorithm for generation of hydrogen-disordered ice structures, J. Chem. Phys. 160, 094101 (2024). DOI:10.1063/5.0198056 GenIce-coreリポジトリ

研究室に新しいメンバーが加わりました

本日より、現3年生の佐々木君、内藤君、矢間さん三名が研究室の新たなメンバーに加わりました。共にサイエンスを楽しみましょう。

卒業論文発表会が開催されました

2月29日に岡山大学理学部化学科の卒業論文発表会が開催され、本研究室からはB4のM2の土屋君、長尾君、向原君が発表を行いました。はじめての研究発表で緊張したと思いますが、質問(本研究室のテーマはわかりやすいので質問が多い傾向があります)にも堂々と答えていました。ご苦労さまでした。 (図は、土屋君によって新たに定義された、水素結合の判定基準境界です。2つの水分子の相対配置が、緑の曲線の左側にあれば、その分子は水素結合を形成しているとみて間違いありません)