氷多形における分子間振動運動の役割II:秩序・無秩序氷における原子振動振幅とフォノンの局在化

結晶性及び非晶質の19種類の氷の振動振幅とフォノン局在の程度を、信頼性の高い古典的な水の分子間相互作用モデルを用いた擬似ハーモニック近似により調べた。低圧氷では圧縮に伴って振幅が増加するが、中高圧氷ではその逆の傾向が観測された。低圧氷中の酸素原子の振幅は、ゼロ点振動の寄与を除けば、水素原子の振幅と変わらない。これは並進振動と回転振動が混在しており、コヒーレントではあるが逆位相の運動をしているためである。並進優位の運動と回転優位の運動がデカップリングされることで、どのような形の氷でも振動振幅が大幅に減少することがわかった。その結果、氷IIIの振動振幅は他の結晶氷と比較して非常に大きいことがわかった。振動モードの特性を調べるために、逆参加比と呼ばれる個々のフォノンモードの原子変位のモーメント比を計算し、結晶氷及びアモルファス氷におけるフォノンの局在化の程度を議論した。その結果、水素秩序氷のフォノンモードは、伝播性や拡散性を持って結晶全体に広がっているのに対し、水素秩序氷のフォノンモードは散逸性モードと呼ばれる振動帯の端に局在していることが明らかになった。低密度アモルファスや高密度アモルファスでは、酸素原子の無秩序化により局在化の度合いはあまり顕著ではないが、低密度アモルファスや高密度アモルファスでは、酸素原子の無秩序化により局在化の度合いが顕著になっている。(DeepLによる機械翻訳)

Hideki Tanaka, Takuma Yagasaki, and Masakazu Matsumoto, On the role of intermolecular vibrational motions for ice polymorphs II: Atomic vibrational amplitudes and localization of phonons in ordered and disordered ices, J. Chem. Phys. 152, 074501 (2020). https://doi.org/10.1063/1.5139697