氷の結晶を生成する新アルゴリズム

我々のグループの新しい論文が出版されました。

氷の中に微量に溶けこんだ分子のふるまいを調べたり、新しい結晶構造を探す研究で、非常にたくさんの分子からなる氷の計算機シミュレーションの需要が高まっています。

通常の結晶とは異なり、氷の結晶のなかの水分子は向きがそろっていません。計算機シミュレーションで氷を扱う場合には、分子の向きがランダムになった結晶構造を適切に生成する必要があります。

我々は、新しい結晶構造生成アルゴリズムを考案しました。これまでの手法に比べて格段に速く、しかもその差は分子数が多い構造ほど際立ちます。原理的に、これ以上速いアルゴリズムは望めません。このアルゴリズムは、氷構造生成ソフトウェアGenIceの最新版で利用できます。

Matsumoto, Masakazu, Takuma Yagasaki, and Hideki Tanaka. 2021. “Novel Algorithm to Generate Hydrogen-Disordered Ice Structures .” Journal of Chemical Information and Modeling, https://doi.org/10.1021/acs.jcim.1c00440.