CH4-CO2二元系クラスレートハイドレートの相挙動について: 二相と三相の共存

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本研究では、2種類のゲスト種を含むクラスレートハイドレートの相挙動を探るために、クラスレートハイドレートに関する統計力学的理論を構築し、CH4-CO2二元系ハイドレートに適用した。水とハイドレート、ハイドレートとゲスト流体混合物を分離する2つの境界を推定し、3相共存条件から遠く離れた低温・高圧領域まで拡張した。個々のゲスト成分の化学ポテンシャルは、ホスト水とゲスト分子間の分子間相互作用から得られるケージ占有自由エネルギーから計算できる。これにより、温度、圧力、ゲスト組成の熱力学的変数の全空間において、相挙動に関連するすべての熱力学的特性を導き出すことができる。その結果、CH4-CO2二元系水和物の水および流体混合物との相境界は、単純なCH4水和物とCO2水和物の間に位置するが、水和物中のCH4ゲストの組成比は、流体混合物中のものと不釣り合いであることがわかった。このような違いは、CS-Iハイドレートの大ケージと小ケージに対する各ゲスト種の親和性から生じ、各ケージタイプの占有率に大きく影響し、その結果、二相平衡条件においてハイドレート中のゲスト組成が流体中の組成から乖離する。本手法は、熱力学的限界におけるゲストのCH4からCO2への置換効率を評価するための基礎となる。

Tanaka, H., Matsumoto, M. & Yagasaki, T. On the phase behaviors of CH4-CO2 binary clathrate hydrates: Two-phase and three-phase coexistences. J. Chem. Phys. 158, (2023) http://dx.doi.org/10.1063/5.0155143